第60章 毎日彼に少し血を流させる

狼の群れのことについては、水原琉衣に話していなかった。彼女を心配させたくなかっただけだ。

そんな私の軽い口調に、水原琉衣は唇を引き結び、私の胸元に身を寄せてきた。胸に彼女の体温を感じながら、彼女は囁くように言った。

「約束して。絶対に何も起こらないって、いい?」

彼女の心配を感じ取り、胸が温かくなった。私は笑いながら答えた。

「大丈夫だよ。僕は強運の持ち主だから。君みたいな子が僕の彼女になるぐらいだから、きっと何も問題ないさ」

水原琉衣は可愛らしく鼻を鳴らすと、私の腕から身をもぎ離した。不満げな表情を浮かべていたが、その笑顔は蜂蜜を食べたかのように甘かった。

私は微笑みながら、木...

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