第61章 家に帰る道を探す

「西村晴馬、私も一緒に行く!」

水原琉衣の態度は、あの時、彼女が危険を顧みずに重傷の俺を連れて逃げてくれた時と、寸分違わず同じだった。

だが、今の状況は違う。島の岸辺へ向かう道を探しに行くのだ。俺自身、どんな危険に遭遇するか分からない以上、水原琉衣を連れて行くわけにはいかなかった。

避難所のほうが、ずっと安全だ。

「西村晴馬、もし私を置いて行ったら、古川陽が私に……」

水原琉衣が俺を説得しようとし始めた。

俺は鼻で笑う。「古川陽は千葉弘也じゃない。ここにいれば大丈夫だ!」

「でも、千葉弘也もここにいるじゃない!」と水原琉衣は続けた。

「千葉弘也はここに囚われているだけだ。もしあいつが...

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