第62章 洞窟の崩壊

クロはまたも俺の言葉を理解したようだ。地面に伏せ、耳を当てて数秒間聞き耳を立てていたが、突如として飛び起きると、狂ったように洞窟の入り口へと突進していった。

その様子を見て、俺はすぐさま振り返り水原琉衣に言った。「早く逃げろ! まずいことになる!」

俺とクロの反応を見た水原琉衣は、何が起きたのかは分からずとも、危険が迫っていることだけは察したようで、慌てて傍らのジャケットを掴んで羽織ろうとした。

だが、焦りのあまり、どうしてもうまく着られない。

俺は水原琉衣の目の前まで駆け寄ると、有無を言わさず、テントから消防斧を一本拾い上げ、彼女を担いで洞窟の入り口へと走った。

洞窟の入り口は俺が...

ログインして続きを読む