第72章 裏切り

翌朝早く、佐藤衛は例の不思議な果実を探しに行こうと、俺たちを連れ出した。

道中、俺と佐藤衛は談笑を交わし、特に変わった様子は見せなかった。

しかし水原琉衣は偽装が下手で、時折、警戒心を帯びた眼差しで前方を歩く佐藤衛をちらりと見ていた。

「西村晴馬、義姉さんは俺に何か思うところがあるのか?」

昼休み、休憩していると佐藤衛が俺の隣に寄り、心配そうに尋ねてきた。

俺は笑って説明する。「まあ、ちょっとな。悪いけど、俺がうっかりお前の大学時代のクズ男エピソードを全部ぶちまけちまったんだよ!」

いわゆる不思議な果実とやらが、果たして佐藤衛の仕掛けた罠なのかどうか、俺にはまだ確信が持...

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