第86章 大河

幸い、昨夜の火事は燃え広がらず、大規模な森林火災には至らなかった。

そして、木川たちの避難所にいた人々も無事に我々の隊列に加わった。

避難所を出てから二十五日目、今や我々の周りにあった天を突くような大樹は次第に低くなり、原生林の端へと順調にたどり着いた。

「少し休むぞ。木川武、お前たちは何人か連れて葉果のような果実を探してこい。できれば獲物もいくつか調達してきてくれると助かる」俺は後ろにいる女性たちの疲れた表情を見て、冷たく命じた。

「はい、西村さん。すぐに手配します」

木川武は、そのつるつるの坊主頭の下で媚びへつらうような笑みを浮かべた。彼が手招きすると、数人を引き連れて周囲の灌木...

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