第90章 造船

テントの中、身じろぎ一つせず横たわる水原琉衣を見つめ、俺の心は罪悪感で満たされていた。

「鈴木美矢を……」

水原琉衣は骨抜きに似た効果のある果実を食べただけで、聴覚などはもちろん影響を受けていない。

外の物音は、彼女の耳にも届いていた。

「うん。琉衣、ごめん!」

俺は床に座り込み、水原琉衣を腕の中に抱き寄せた。

「全部俺のせいだ。鈴木美矢がくれたものを食べるべきじゃなかった! ごめんなさい、西村晴馬。あなたを困らせてしまって!」

水原琉衣は逆に俺に謝ってきた。

俺は解せぬまま尋ねた。「どうして鈴木美矢がくれた果実なんて食べたんだ?」

この点だけは、どうにも理解できなかった。

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