第91章 渡河

俺は子供の頃から川で魚やエビを捕って遊んでいたおかげで、水には滅法強い。

そうでなければ、いくら力に自信があっても、この川を無理に渡ろうなどとは思わなかっただろう。

右足に何かが絡みつく感触があったとき、俺はすぐに水草に足を取られたのだと気づいた。

深く息を吸い込み、水中に潜る。

案の定、昆布のような水草が数株、俺の右足に固く絡みついていた。

力いっぱい足で蹴ってみたが、まったく効果はない。

「くそっ!」

内心で悪態をつき、体を捻って水草の方へ手を伸ばす。それを解こうとしたのだ。

次の瞬間。

俺の手が水草に触れた途端、それらはまるで意思を持つかのように、俺の左手にもがっちりと...

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