第5章 選択と救済

「病院へ」私は震える声で言った。「医者に会って、全てを確かめないと」

雄太も健太も反対はしなかった。三人でタクシーに乗り込むと、空気が窒息しそうなほど重苦しい。雄太が私の左に、健太が右に座り、真ん中に挟まれた私は気が狂いそうだった。

T京大学病院の救急科は、相変わらず煌々と明かりが灯っていた。私はその診断書を手に、当直の医者を直接訪ねた。

「佐藤先生はいらっしゃいますか?このカルテについて確認したいのですが」

看護師は診断書に目を落とし、頷いた。「佐藤先生はちょうど手術を終えたところです。呼んできますね」

十分後、眼鏡をかけた中年の医者が姿を現した。彼は雄太を見るなり、...

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