第6章
小林杏奈視点
釣れてる?世界がぐるぐると回るのを感じた。まさか、私のことを言っているの?
「あの女の家族からの4000万は、いつ手に入るんだ?」
もう一人の、骸骨のように痩せこけた男が、欲深そうに尋ねた。
「弁護士の話じゃ、あと数週間だそうだ」
青木浩司が続けた。
「家族が脅迫状を受け取りさえすれば、金を払うはずだ」
嘘……こんなの、ありえない……
膝から力が抜け、崩れ落ちないように廃車のドアハンドルを必死に掴んだ。あの優しい言葉も、あの愛おしそうな眼差しも、本当の愛を見つけたと信じていたあの瞬間も……
全部、演技だったんだ。
「おい、くだらねえ真似はするな...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章


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