第6章

コーヒーを淹れてカウンターに座り、彼が作業するのを見ていた。偶然目が合うたびに、二人して見つめ合っていたところを見つかった学生みたいに、さっと視線をそらしてしまう。

馬鹿みたい。私たちは大人なのに。昨日の夜、キスしかけた――そう、あくまで「しかけた」だけ。実際には何も起こらなかった。

「よく眠れた?」私は平然を装って尋ねた。

「ああ」彼は私の前に皿を置きながら、はっきりとは視線を合わせずに言った。「君は?」

「私も」『それは嘘』。昨日の夜は、あの瞬間を何度も頭の中で再生して、半分も眠れなかったんだから。

数分間、私たちは黙って食事をした。聞こえるのは、皿の上でフォークが...

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