第10章

絵里視点

「和也! 和也! 目を開けて!」

月光の下で不気味なほど黒く見える血が、彼の肩から流れ落ちる。私は必死に彼を揺さぶった。アフリカの赤い大地が、飢えた獣のようにその血を貪欲に吸い込んでいく。

『いや! こんなの嘘よ! 彼を死なせたりしない!』

負傷者が出て、遠くから軍のパトロールの音が聞こえてきたことで、銃撃犯たちは散り散りになった。私は歯を食いしばり、和也を医療車両まで引きずった――彼の体は石のように重く、ストレッチャーに乗せるにはありったけの力が必要だった。

「しっかりして、和也」恐怖に震える指で傷口に包帯を巻きながら、私は歯を食いしばって言った。「死ぬなんて許さな...

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