第37章

三人は杯を掲げて祝杯を交わしていたその時、突然横から声がかかった。「ここに座ってもいいか?」

拓也は上田グループを探る妄想に完全に取り憑かれていて、その声に気づいても笑いながら「もちろん……」と言いかけた。

だが、言葉を終える前に、隣の左田がグラスを置き、慌てた表情で「うえ……」と口を開いた。

上田景川は手を振って彼に静かにするよう合図し、驚きの表情を浮かべる拓也に向き直った。「これで二度目の対面だね」

拓也は唇を噛んだ。「二度目じゃないよ」

「ん?」

「……なんでもない。どうしてここに来たの?」

上田景川は彼を一瞥した。小さな子供は言葉を詰まらせ、怯えきった様子。彼は思わず笑...

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