第41章

男の気配がますます近づき、濃厚になっていく。

かつて、月野里奈はどれほど上田景川からこんな風に積極的にキスされることを望んでいたことか。

だが彼女は彼と三年間結婚していた。

彼は一度も積極的になったことがなかった。

日常生活でも、ベッドの中でも、いつも積極的なのは彼女の方だった。

以前は彼が積極的になれないのだと思っていた。

今、彼女はようやく真実を見た。

彼は積極的になれないのではなく、彼女に対して積極的になろうとしないのだ。

今のように、彼女は上田景川のもとで働き始めてたった半月のメイドにすぎないのに、彼はこうして積極的に彼女にキスしようとしている……

そう考えると、月...

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