第4章

彩香視点

午前一時。フーディーを羽織り、スリッパを履いて裏庭を横切っている。恵茉が言っていた。隆司は時々、物置小屋の裏で遅くまで木工作業をしていることがある、と。明日、彼を探すつもりだったけど、どうにも眠れそうにない。園田先生の言葉が、頭の中で何度も繰り返される。

草は濡れている。スリッパは数秒でびしょ濡れになった。遠くに見える作業小屋の明かりはまだついていて、ドアが少しだけ開いている。木材をやすりで磨く音が、そこから漏れ聞こえてくる。

一息ついて、ドアを押した。

隆司は私に背を向けていた。白いタンクトップ姿だ。やすりを動かすたびに、その筋肉が波打つ。こっちの夏の夜は湿度が...

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