第8章

彩香視点

十二月の緑川町。この町には珍しく、雪がすべてを白く覆っていた。プレイルームの窓は結露で曇り、子供たちの手形がガラスに点々とついている。

恵茉がはしごのそばに立ち、クリスマスツリーを見上げて首を傾げた。「彩香先生、てっぺんまで届きますか?」

私は箱の中の飾りを整理しながら、そびえ立つツリーを見上げて笑った。「私じゃ背が低いから。隆司を呼んでくるね」

ドアが勢いよく開く。隆司が箱をいくつか抱えて入ってきて、壁際に置いた。「来たぞ」

彼は恵茉のほうへ歩み寄り、隣にしゃがみこんだ。「準備はいいか?」

彼女はこくりと頷く。その目は興奮で輝いていた。

彼の手がしっ...

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