第10章 メンタル強すぎる

中央病院。最上階のVIP病棟。

伏見盛重が病室のドアを押し開けた。

想像していたような、死んだように沈んだ空気はない。

伏見守臣は床から天井まである窓の前で太極拳を打っていた。一招一式、風を切るように鋭く、老体とは思えない迫力だ。

物音に気づいたのか、伏見守臣はすっと型を収め、腹の底から唸るように言った。

「ようやく来たか。てっきり、わしみたいな老いぼれが生きてようが死んでようが、どうでもいいのかと思ったぞ」

伏見盛重は歩み寄り、伏見守臣の腕を支えて椅子に座らせる。

「専用回線でこっちにまで電話が来たんだ。来ないわけないだろ」

「わざと騒ぎを起こさなきゃ、顔も出さんくせに」伏...

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