第101章 強硬な手段に出させないで

彼女が従順に答えたのを見て、伏見盛重の瞳の奥に潜んでいた冷気が、ようやくわずかに引いた。

顎を押さえていた手が離れる。指先の跡だけが焼き印みたいに残り、肌の奥までじりじりと熱を持たせた。

「早く休め。明日、北島大輝が資料を届ける」

それだけ言い残し、彼は背を向ける。

圧倒的な気配が遠のいた瞬間、涼宮寧音の唇がかすかに歪んだ。苦い笑み。

協力関係。越えない接触。

……そんなものが通じる相手だと、本気で思っていたのか。

伏見盛重みたいな男に条件を突きつけるなんて、虎の口に手を突っ込むようなものだ。

彼が見せる一歩の譲歩には、必ず裏で値札が付いている。しかも、こちらが拒めない形で。...

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