第113章 どうか私を恨まないで

翌日、涼宮寧音は指定された住所を頼りにタクシーを走らせ、P市郊外にある一軒の邸宅へ向かった。

古い——けれど、古びてはいない。

長い年月が磨き上げた静けさと気品が、敷地全体にしんと沈んでいる。

寧音は門柱のインターホンを押した。

ほどなくして、執事服に身を包んだ白髪の老人が姿を現す。

「どなたに御用でしょうか」

流暢なフランス語。しかも、どこか昔の貴族を思わせる、硬質で上品な響きだった。

「は、はじめまして。涼宮寧音と申します」

寧音は緊張で喉が乾くのを感じながら、言葉をつないだ。

「こちらで、ある方のことを伺いたくて……向井友美さん、という方です」

——それが、実母の名...

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