第118章 唯一の希望

四日目を迎えた。

ドレスの全体のシルエットはすでに組み上がり、いよいよ最重要にして最も時間を食う工程――手刺繍へと入っている。

「星辰と海」の肝は、裾に広がる星空だ。金糸と銀糸、数粒の真珠、そして砕いたような小さなダイヤを、すべて手で縫い留めて描き出す。

必要なのは忍耐だけじゃない。技術が要る。しかも、寸分の狂いも許されない。

涼宮寧音は特注の拡大鏡をかけ、針先に意識をすべて集めた。ひと針、またひと針。呼吸さえ邪魔になるほどに。

そのとき――控室の扉が勢いよく開いた。

北島大輝が、落ち着かない足取りで入ってくる。顔色は硬い。

「伏見社長、涼宮さん」

伏見盛重が目を上げた。

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