第12章 言葉が通じない?

「よく見ておきなさい、遥香。あとで気を利かせて、いい印象を残すのよ」

涼宮遥香は白いワンピースに身を包み、無垢を装う薄化粧をきっちりと整えていた。そう言われると、ふわりと柔らかくうなずく。

視線を会場に滑らせ、張り詰めていた胸の糸が少しだけ緩んだ。

涼宮寧音はいない。

――よかった。

ざわ、と小さな波が立つ。校内の幹部たちに囲まれ、背の高い男が壇上へと上がった。

黒のスラックスに、真っ白なシャツ。隙のない身だしなみ。

ネクタイは結ばず、襟元だけがわずかに開いている。その無造作さが、かえって禁欲的で目を引いた。

彼が姿を現した瞬間、会場の喧騒はすっと消え、注目の静寂に塗り替わる...

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