第125章 鴻門の会ぐらいのものだな

帰り道、車内の空気はどこか微妙だった。

二人とも、それ以上は何も言わない。

涼宮寧音は窓にもたれ、頬の熱がなかなか引かないのを感じていた。

この人生は、伏見盛重に出会った瞬間からずっと、歯車が外れたみたいに制御を失っている。

けれど――その「制御不能」が、案外悪くない。

ホテルに戻ると、伏見盛重は寧音を部屋の前まで送り届けた。

「早く休め」

そう言って彼は彼女の髪をくしゃりと撫でる。甘やかすような眼差し。

「……うん」

涼宮寧音は俯いたまま、顔を上げられなかった。

ドアを開けようとした、その瞬間。

伏見盛重がふいに、彼女の手首を掴んだ。

じっと見つめられる。絡みつくよ...

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