第13章 第一歩を勝ち取った

涼宮遥香がこれまで切り札にしてきた「か弱さ」を武器にした攻めは、伏見盛重のボディガードの前では通じなかった。

相手は彼女の存在など最初からいないかのように、視線はまっすぐ前。微動だにしない。

一家は扉の外でがっちり足止めを食らい、熱い鉄板の上の蟻みたいに右往左往するしかない。焦りばかりが募るのに、打つ手はなかった。

バックステージの分厚い扉が、内と外――二つの世界を完全に遮断している。

中がどんな状況なのか。涼宮寧音が伏見盛重に何を話しているのか。彼らには知りようもない。

その「見えない」という感覚が、遥香の胸の不安を一気に膨らませた。

遥香は俯く。もう、気遣いに満ちた笑みを貼り...

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