第40章 何が怖い?

一難去ってまた一難。

生地の損壊と、仮縫い用サンプルの廃棄――二重の打撃が一瞬でチームを崖っぷちへ追い込んだ。

アトリエの空気が、ずしりと重くなる。

誰もが血の気の引いた顔をしていた。

これほどの大きなミスだ。誰一人として無関係ではいられない。

だが、涼宮寧音だけは――不思議なほど落ち着いていた。

「伏見社長に連絡を。プロジェクトで問題が起きました」

早瀬が口を開きかけた、その時だった。涼宮寧音はすでに意識を、廃品同然のサンプルへ向けている。

冷静すぎて、むしろ背筋が寒くなるほどに。

数分後、伏見盛重が到着した。

背は高く、無駄のない体躯。近寄りがたい圧が全身から滲み出て...

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