第44章 彼女はただの駒

その言葉が出た瞬間、伏見グループの社員たちは、こらえていた息を一斉に吐き出した。

まさか涼宮寧音が、たった一人でこの提携破談寸前の惨事を、ねじ伏せてしまうとは。

彼女に向けられる視線は、もはや純粋な崇拝と畏敬――。

強い。圧倒的に。

小島社長は決断が早い。新たな取り決めが整えば、長居する気などさらさらない。

「それじゃあ、三日後に」

そう言って彼女は涼宮寧音へ手を差し出した。同業として、きちんと敬意を示す仕草だ。

涼宮寧音も手を伸ばし、しっかりと握り返す。

「ご安心ください。必ず期待に応えます」

小島社長一行を見送ると、展示室の扉は再び閉められた。

張りつめていた「無敵」...

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