第55章

涼宮卓実は、文字どおり尻尾を巻いて逃げた。

涼宮寧音は機械みたいに身を翻し、ビルへ戻る。

オフィスに入るなり、ファイル袋の中身をデスクへばさりとぶちまけた。

自分の献血記録。

それから、涼宮遥香が――彼女が大事な試合に出る日や、試験の直前に限って「たまたま」重篤化したことになっている、あの医療記録の束。

さらに後ろには医師の所見まで添えられていた。

そこには、幾度となく繰り返された「危篤」の大半が、軽い拒絶反応にすぎず、輸血など不要だったと、はっきり書かれている。

USBには、涼宮遥香が「仮病で献血させた」ことを得意げに語る音声とデータが詰まっていた。

前の人生では、死ぬ間際...

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