第56章 本当に隠れた情熱家だ

涼宮寧音は伏見家の資料を、改めて洗い直した。

今度の焦点は、きらびやかな「実績」ではない。

歴史の節目ごとに、あの一族がどんな危機と闘争をくぐり抜けてきたのか――そこだった。

伏見守臣は創業初期、共同経営者に裏切られ、工場は倒産寸前まで追い込まれた。

そして伏見盛重は、まだ二十歳そこそこで、虎視眈々と狙う叔父や年長の親族たちの手から、グループの絶対的な主導権を奪い返したという。

この家の栄光は、無数の傷跡の上に築かれている。

気品や矜持は、生まれつき備わるものではない。

荊棘と泥濘の中を、血を吐くように歩き、奪い取ってきたものだ。

涼宮寧音の中で、何かが弾けた。

自分とこの...

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