第57章

怪しい人影がすっと滑り込み、階段を上へ上へと駆ける。辿り着いたのは最上階のアトリエ、その扉の前だった。

鍵に手をかけようとして――ふと、ドアノブのところに札が下がっているのに気づく。

『消毒中につき立入禁止』

男は眉をひそめた。

消毒?

こんな時間に?

だが、深く考える暇はない。任務が先だ。

男は工具を取り出し、手際よく作業する。数分もしないうちに、カチリ、と小さな音を立てて錠が外れた。

室内は真っ暗だった。男は携帯用の小さなライトを点け、光の束をゆっくり揺らす。

机の上は、からっぽ。

目当てのデザイン画は影も形もない。

胸の奥に、嫌な予感がじわりと滲んだ。

男はデス...

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