第58章

空が、白み始める。

男がひとり、警察署の玄関前を長いあいだ行ったり来たりしていた。やがて観念したように肩を落とし、敗残兵の顔で中へ消える。

同じころ、涼宮寧音は最終的に絞り込んだ11体分のデザイン画を、机の上にずらりと並べていた。

北島大輝は脇に立ったまま、それらへ目を走らせ――隠しきれない衝撃を瞳に宿す。

彼はプロではない。それでも分かる。これは、只事じゃない。

どの礼服も、もはや衣装というより作品だった。積み上げてきた底力があり、同時に刃のような鋭さもある。伝統を背負いながら、媚びない。

中でも伏見守臣のための一着は、息を呑むほどだった。まるで天啓でも受けたみたいに、ぴたりと...

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