第65章 彼女は本当に賢い

その言葉を聞いた瞬間、江口辰木の顔色はさっと青ざめた。

伏見盛重は言い終えると、あっさり手を放す。

江口辰木はよろめきながら二歩ほど下がり、驚きと怒りで目を見開いた。

――どういう意味だ。

涼宮寧音は自分の彼女だ。なのに「俺のデザイナー」だと? 何を言っている。

だが伏見盛重は、江口辰木に視線の端すらくれない。涼宮寧音へと目を向けると、短く告げた。

「乗れ」

涼宮寧音は一切ためらわず、伏見盛重の後ろについて車へ向かう。

今夜の茶番は、ここで終わりだ。

未練の欠片もない背中を見送った瞬間、江口辰木の理性がぷつりと切れた。

自分の目の前で、別の男の車に乗り込む?

涼宮寧音は...

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