第76章 彼は何かを見せたがっている

伏見グループ、最上階の社長室。

伏見盛重の深い視線は、スマホの画面に落ちていた。北島大輝から送られてきた写真――そこに写っているのは、あの衣装。

胸を打つほどの美しさも、画面越しに押し寄せる生命力も、少しも色褪せていない。

写真の中では、涼宮寧音の影が、衣装の脇の壁に細く投げかけられていた。

人と作品が寄り添い、奇妙なほど完成された一枚になっている。

伏見盛重は無意識に、画面のその華奢な影を指の腹でなぞった。

瞳の色が、ゆっくりと、底の見えない闇へ沈んでいく。

そのとき、コンコン、と扉が叩かれた。

北島大輝が入ってくる。

「伏見社長、衣装はすべて回収できました」

声には、...

ログインして続きを読む