第78章 彼に追い詰められたからじゃないか?

会場は香水と艶やかな髪の匂いが入り混じり、グラスの触れ合う音と笑い声が絶えない。

そこへ伏見盛重と涼宮寧音が並んで姿を現した瞬間、視線が一斉に吸い寄せられた。

ざわり、と空気が揺れる。

「盛重、来たか」

年季の入った、だが芯の通った声。

伏見盛重が振り向く。

「祖父上」

伏見守臣は小さくうなずき、そのまま寧音へ目を向けた。

周囲の好奇のそれとは違う。長く上に立つ者の、測るような視線。

寧音はひるまず受け止め、端正に頭を下げる。

「伏見おじい様、はじめまして。涼宮寧音と申します」

「……うむ」

守臣は一拍置き、彼女のドレスへ視線を落とした。星空を閉じ込めたような布地に、...

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