第89章 あなたの女になりたくない

涼宮寧音は、その言葉に完全に固まった。

――まさか、私と結婚する気?

そう思った瞬間、荒唐無稽すぎて笑いそうになった。

「伏見社長、冗談はやめてください」寧音は口元を引きつらせる。「私たち、知り合ってどれだけ経ちました? 私のこと、どれほどご存じなんですか。恋愛を遊びみたいに扱わないでください」

「問題ない」伏見盛重は彼女の目をまっすぐ見据え、重々しく言い切った。「俺が責任を取る。今日から俺の女になれ。お前が欲しいものは全部やる。地位も、名誉も……そして、俺のすべてを」

権勢を握る伏見盛重にそんなふうに言われたら、普通の女なら舞い上がって倒れてしまうかもしれない。

けれど寧音の胸...

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