第90章 分からないのか?

涼宮遥香は泣きながら、目尻で涼宮大志の反応を盗み見ていた。

今ここで弱さを見せれば、父はきっと慰めてくれる。そう思っていたのだ。

けれど忘れていた。いまの涼宮大志は、崖っぷちに立たされている人間だということを。

「黙れ!」

涼宮大志が勢いよく振り返る。

「泣いてばっかりだな! 泣く以外に何ができる! お前のくだらねえ一件がなきゃ、涼宮家がここまで追い込まれることもなかったんだ!」

怒鳴られて、遥香は一瞬きょとんとした。次の瞬間、堰を切ったように泣き声が大きくなる。

「お父さん、そんな言い方ないよ……! 私だって家のために……涼宮寧音の評判さえ潰せば、伏見社長だってあの子を見限る...

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