第96章 運命から逃れられない

伏見盛重の問いかけは、涼宮寧音が幾重にも塗り固めてきた仮面を一枚ずつ剥がし、胸の奥底に沈めた恐怖を容赦なく抉った。

――そう。

彼女は、言えない。

守られて、用意された道を歩かされる心地よさに溺れてしまうのが怖かった。そうなればまた、自分を見失う。やっと取り戻したこの心を、もう一度落としてしまう。

「……私は、私の力でやりたいだけ」

涼宮寧音は視線を落とし、意地を張るように言い切った。

伏見盛重はその頑なな横顔を見つめているうちに、胸の奥で燃えていた苛立ちがふっと霧散した。代わりに、言葉にできない感情が湧く。痛ましくて、もどかしくて、少しだけ苦い。

この女は、全身に棘を生やした...

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