第107章

「すみません、少し電話に」葉原遥子は高橋空を一瞥して言った。

高橋空は軽く唇を抿み、無表情のまま彼女に頷いた。

高橋空の返事を得て、葉原遥子はすぐに立ち上がり、窓辺へ歩いて電話に出た。

「葉原遥子、オーディション見に来るって言ったのに、どこにいるんだよ?もう葬儀からは帰ってきてる頃だろ?」安藤羽風の口調には少し不満が混じっていた。

「ええ、でも叔父様から一度家に帰るように言われて、今は葉原家にいるの」葉原遥子はかすかに微笑んだ。「安心して、忘れてないわ。後でそっちに行くから、少し休んでて」

「それならいいけど。そうじゃなきゃ、後で文句言ってやるところだった」安藤羽風もつられて笑い出...

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