第115章

高橋空の拳は凄まじい力で、氷川晨は避けきれず、口の端を殴られ血を滲ませた。

「氷川社長! 大丈夫ですか?」田中秘書はそれを見て、慌てた様子で駆け寄り、声には焦りが満ちていた。

「大丈夫だ」氷川晨は人さし指を曲げ、そっと口元の血を拭う。彼は冷ややかな目で高橋空を見据え、落ち着いた声に僅かな侮蔑を滲ませた。「まさか、高橋様がこれほど野蛮な方だったとは思いもしませんでした」

高橋空はただフンと鼻を鳴らした。「氷川社長の汚いやり口に比べれば、俺の野蛮さなど物の数にも入らん」

その言葉が終わるや否や、彼の背後にいた黒服のボディーガードが一歩前に出て、精巧なローズのアロマディフューザーを執務机の...

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