第190章

バンド『Neon Rebels』の演奏が最高潮に達したその時、ステージの四方から人工雪が勢いよく噴き出した。

舞い散る雪の中、葉原遥子は無人のピアノへ駆け寄った。片手で和音を弾き語りながら、もう片方の手でピアノの蓋から大量のキャンディを掴み取り、客席へとばら撒く。運悪く、その中の一枚――金貨の形をしたチョコレートが、氷川晨のグラスに飛び込んだ。弾け飛んだシャンパンの飛沫が袖口を濡らし、彼の表情が一瞬にして曇る。

葉原遥子は突如ステージから飛び降りると、細かなステップを踏んで高橋空の目の前へ歩み寄った。

彼女は自身の髪を飾っていたヤドリギの小枝を彼の襟元に挿し、蝶のように軽やかにステージ...

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