第205章

その言葉に、葉原遥子の瞳が鋭く光った。彼女は氷川晨へと視線を流し、無言で続きを促す。

氷川晨もまた、目を細めて彼女を見返した。表情こそ変えていないが、その漆黒の双眸はどこか深みを増している。彼はゆっくりと祭壇の前へ歩み寄ると、位牌の縁を指先でなぞりながら、静かに告げた。

「俺が聞いたのは、これだけだ」

葉原遥子は眉を寄せ、疑わしげな眼差しを彼に向けた。口を開こうとしたその時、氷川晨が言葉を継ぐ。

「その後、裏で手を回して調査させたが、手がかりが少なすぎた」

葉原遥子があからさまに疑いの色を見せると、氷川晨は唇を引き結び、一拍置いてから、さらに冷ややかな声で言った。

「遥子、どうし...

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