第210章

数日後、S市。佐々木エンタメのリハーサルスタジオ。

コツコツとヒールの音を響かせ、藍沢希依がドアを押し開けた。その背後には、長身の女が一人続いている。

「みんな、紹介するわ」藍沢希依はパンパンと手を叩き、注目を集める。「こちら、『Lunar Howl』の新しいボーカル兼ギターよ」

その言葉に、スタジオ内に満ちていた音がふっつりと途絶えた。

新田雨静は動きを止め、速水楓はスティックを下ろす。千堂真崎はわずかに顔を上げた。

その瞬間、全員の視線が赤の身に注がれる。

黒のタンクトップに赤いレザージャケット。引き締まった長い脚はダメージジーンズに包まれ、足元はスタッズ付きのショートブーツ...

ログインして続きを読む