第215章

 翌日、S市、冴島邸。

「考えはまとまったか」

 入り口の枠に身体を預けた冴島雅紀が、今日の天気でも尋ねるような漫然とした口調で問いかける。

 佐藤愛は唇を噛み締め、怯えたように上目遣いで冴島雅紀を一瞥した。

 自分に選択肢などないことは、痛いほど理解していた。

「承知、しました……」

 彼女は掠れた声で呟く。

「でも……」

 冴島雅紀が片眉を跳ね上げ、続きを促す。

「もし私があの番組に出たら、冴島のお爺様にいずれ知られてしまいます」

 佐藤愛の瞳に恐怖の色が滲む。

「あの方が愛してやまない冴島綾芽を、わ、私がまた怒らせるようなことになったら……」

「ふっ」

 冴島...

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