第22章

「佐々木さんは冗談を言うね。こんな大層な立場は私には務まらない」葉原遥子は深呼吸をして言った。

前回彼女が気を失った時、彼女を送り届けるはずだったのは佐々木飛雄のはずだった。だが最終的に彼女が戻ったのは氷川家だった。それに氷川晨のあの不可解な言葉と合わせて考えると、葉原遥子はすぐに事情を理解した。

氷川晨は既に彼女の身分について彼に話していたのだ。だから彼は今、こんな人目につかず秘密の会話に適した場所に彼女を呼び出したのだろう。

ここに来る客はほとんどが特殊な趣味を持つ人々で、顧客のプライバシーを守るため、このホテルのオーナーは部屋の秘密保持を徹底していた。

料金が高いのにも理由があ...

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