第241章

言葉が落ちた、その刹那。部屋の中に濃密な霧が立ち込め、あろうことか天井からパラパラと水滴が降り注ぎ始めた。

その雫は骨まで凍るほどに冷たく、肌を打つ感触はまるで無数の針のようだ。高橋空は顔色を変え、咄嗟に葉原遥子へと手を伸ばすが――その指先が掴んだのは、虚空だけだった。

やがて霧が緩やかに晴れていく。だが、部屋はもぬけの殻となっていた。

葉原遥子の姿は跡形もなく消え失せ、物音ひとつ残されていない。空気中には、微かな薔薇の香りと、湿った水気が漂うばかりだ。

「遥子! どこなの!?」

松本彩が悲鳴のような声を上げる。その声音は小刻みに震えていた。

ドンッ、と鈍い音が響く。平沢逸が拳を...

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