第242章

葉原遥子は通気ダクトの中で激しく咳き込み、鼻を突く煙に視界を奪われていた。背後からは絶え間なく建物の崩落する轟音が響き、爆発の衝撃波で歪んだ金属ダクトの鋭利な縁が、彼女の腕やふくらはぎを容赦なく切り裂いていく。

「ッ……ゲホッ、ゲホッ……」

喉が焼けるように痛む中、彼女は懸命に匍匐前進を続けた。

あの鬼龍院煉……あいつは正真正銘の狂人だわ!

不意に、体の下のダクトから不吉な軋み音が響いた。

――ドォォォン!!

天井からダクトの大部分が崩落した。葉原遥子は間一髪のところで、剥き出しになった一本の鉄筋にしがみつく。老朽化した建物は、度重なる衝撃にもはや耐えきれなくなっていたのだ。

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