第246章

医師の言葉が落ちた瞬間、高橋空の瞳に凄絶な色が宿った。彼は荒々しく医師の胸倉を掴み上げると、氷のように冷たく、押し殺した声で告げる。

「もう一度言ってみろ。治せないだと?」

医師はその気迫に圧倒され、たじろいだ背中が船室の壁にぶつかる。白衣は瞬く間に冷や汗で濡れていく。

「高橋さん、落ち着いてください! 誰が診ても同じです……」

高橋空は鼻で嗤った。瞳には危険な赤い光が宿り、周囲の空気が凍りつくような殺気を放ち始める。

その時、ベッドの上の葉原遥子が激しく痙攣し始めた。シーツを握りしめる指は白く、歯の根が合わずにカチカチと鳴る。ひび割れた蒼白な唇から、途切れ途切れのうめき声が漏れた...

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