第247章

翌日、早朝。

薄霧がまだ晴れやらぬ中、船体は水波に任せて静かに揺蕩っていた。

甲板の片隅に、氷川晨は腰を下ろしていた。右腕には厚い包帯が巻かれている。血に濡れたシャツはすでに着替え、身なりこそ整ってはいるものの、その顔色は隠しようもなく蒼白だった。

脇に置いたスマートフォンが数回震えたが、彼は無視した。三度目の着信音が鳴ってようやく、緩慢な動作で画面をスライドさせ、耳に当てる。

「氷川社長、私です」

電話の向こうから、田中秘書のいつになく謙虚な、そして不安と躊躇を含んだ声が聞こえてきた。

「お婆様が、社長の携帯に繋がらないと仰っていて……C市のニュースをご覧になり、大変心配されて...

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