第253章

夕暮れ時。佐々木家邸宅、書斎。

「菊池雪音の素性が割れた」

佐々木允は変色した古びた書類を葉原遥子の方へ滑らせ、淡々とした口調で告げた。

「彼女の元の名はリリス。澄青島の出身だ。リナという名の姉が一人いたらしい」

彼は一瞬言葉を切り、葉原遥子を見据えて声を潜めた。

「リナこそ、葉山圭吾があの島で出会った女だ」

葉原遥子の瞳が、驚愕に揺れる。

「なんですって……?」

「当時、この件は葉山圭吾によって揉み消されたに過ぎない。線索は断たれておらず、ここへ辿り着くのはそう難しくはなかった」

佐々木允は顎をしゃくり、書類を開くよう促した。

「リナの死後まもなく、リリスは島を出て菊池...

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