第260章

 しばらくして、高橋空は地下バーの重厚な扉を蹴破った。

「探せ!」

 彼の一喝と共に、背後に控えていた数名の黒服たちが迅速に散開する。彼らは立ちはだかる客を乱暴に押し退け、ボックス席の隅々までしらみつぶしに調べ始めた。

 その物々しい雰囲気に、店内の客たちは一様に顔色を変え、耳障りだった音楽も潮が引くように止んだ。

 高橋空は冷ややかな視線を店内に巡らせたが、探し求めていたあの姿はどこにもない。

 捜索から戻ってきた黒服たちも首を振り、声を潜めて報告する。

「高橋様、葉原さんは見つかりませんでした」

 彼は眉を寄せ、鋭い眼光を傍らのバーテンダーに向けた。その声は低く、危険な響き...

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