第262章

それを聞いて、葉原遥子は視線を落とした。

水面下には黒い岩礁が透けて見え、その縁は刃のように鋭い。さらに先、霧がわずかに晴れたその場所には、朽ちかけた木造の桟橋が姿を現した。海水に侵食された板は黒ずみ、所々が崩落しており、今にも完全に崩れ去りそうだった。

彼女は眉をひそめたが、鬼龍院煉の命令が飛んだ。「降りろ」

言い終わるや否や、彼は真っ先に桟橋へと足を踏み入れた。板が悲鳴を上げるようにミシリと軋み、その音に葉原遥子は総毛立つような感覚を覚える。

「何ぼさっとしてるんだ」

背後から十目が急かすように言った。

葉原遥子は彼を無視し、後に続いた。桟橋に足を乗せた瞬間、刺すような冷気が...

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