第263章

「あの宝石を取ってこい」

 鬼龍院煉は葉原遥子にそう告げた。その声には拒絶を許さぬ響きがあり、仮面の下の双眸は、祭壇の中央に鎮座する幽玄な碧色の宝石を凝視している。

 葉原遥子は鼻で笑い、その場から動こうとしなかった。

「どうして私が? ここまでの案内は済ませましたわ。鬼龍院様がそんなにお気に召したのなら、ご自身の手で取ればよろしいのではなくて? まさか、怖気づいたとでも?」

 十目が不愉快そうに舌打ちをした。唐突に銃を抜き、その漆黒の銃口を彼女の後頭部に突きつける。

「鬼龍院様に二度言わせるな」

 冷たい金属の感触に、葉原遥子の身体が強張る。だが彼女は込み上げる恐怖を押し殺し、...

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