第273章

その様子を見て、周囲の通行人たちが次第に足を止め始めた。誰かが二人に気づいて驚きのあまり口元を押さえ、次々とスマホを掲げて写真を撮り始める。

葉原遥子の顔が瞬く間に赤く染まった。彼女は何か言おうと口を開いたが、言葉が出てこない。

松本彩が傍らで忍び笑いを漏らし、肘で彼女を小突いた。

「何ぼーっとしてんのよ? 早くOKしなさいって!」

「おいおい、まさか我らが高橋さんに名分を与える気がないわけじゃないだろ?」

平沢逸も一緒になって囃し立てる。

葉原遥子は深く息を吸い込み、ふと微笑んだ。差し出された花束を受け取り、小さな声で告げる。

「ええ、喜んで」

高橋空は立ち上がり、彼女を力...

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